飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「白銀の救世機 2」感想

白銀の救世機2 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
新種のXENOを撃退した際に発生した強力なイデアは、要塞都市『アカツキ』にも影響を及ぼしていた。イデアを浴びたゼノイドの一部が感情に目覚め、彼らは同族のゼノイドに処分されようとしていたのだった……。
クーラの協力により彼らを助け出したアルツたちは、そのなかに一際目立つ一人の少女の存在に気づく。
「やっぱりなのです。フランの思っていたとおり、心とは愚かな要素なのです」
フランと名乗る少女は、アルツたちにとって初めて出会うタイプのゼノイドで……。
「見せてやる! これが――俺と仲間たちの力だ!」
感情を力に変えるへヴィバトルアクション、物語は、ここから動き出す―――。

MF文庫Jの表紙が白背景ではなく黒…というのは新鮮だなあ。まあMF文庫Jに限らず、他のレーベルでも黒背景はあまり見ない。他のラノベと並んでいてもこれは目を惹いて良い。

感情。それは余計なモノなのだろうか?
心を手にいれ人が変わったように兄愛全開でアルツに接するリステルの可愛さといったらもう。感情に不慣れなアルツであっても、兄として、また男としてリステルを愛おしいと感じていて何処かホッとする。しかしリステルの場合、アルツやミーネとは違い、他人を気にかけず心をアルツのみに向けているのが危うい。ある意味ではリステルのこの真っ直ぐすぎる心が騒動の引き金を引いているように思える。

合理的判断によって、感情を持ち役立たずになったゼノイド…同志を殺処分しようとする『アカツキ』の動きに反発し、全員とはいかなかったが助け出すことに成功したアルツたちが出逢うことになるひとりの少女。リステルの部下であり、感情を手にいれてしまったフラン。感情によって心が揺れ動き、悩み苦しみ『死』と『孤独』の恐怖に襲われる。感情とは厄介なものだ。合理的に考えてマイナスの要素しかない感情の存在を否定するフラン対して、感情によって得ることのできる人の温もりを伝えようとするアルツたちの行動がフランの心の雪解けを促す。自分勝手なリステルもまた成長していく。感情に振り回されるセノイドの監督役であるナユキの苦労は絶えないねえ。ナユキの心の壁を簡単に飛び越えてくるアルツさんは、やはり天然ジゴロですな。

戦艦…巨大スノーモービルを母艦にしてこれからは組織だって行動していくのだろう。クーラは敵か味方なのかハッキリしない。不気味だわ。