飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ストライプ・ザ・パンツァー」感想

ストライプ・ザ・パンツァー (MF文庫J)

〈あらすじ〉
姫川響子は交通事故で瀕死の状態になったところを、心優しい宇宙生命体のストライプに寄生されることで助けられる。心に直接話しかけてくるストライプに、響子は二週間前に家出した兄の礼二を探していたことを明かす。実は記憶喪失だというストライプと共に、響子は二人で互いの"探しもの"を見つけることを約束するのだった。そんなとき、響子の学校で大量のパンツ消失事件が起こった! 響子はストライプと協力し、パンツ泥棒の宇宙人を追うことになるのだが――!?
審査会騒然のハートフル・ピュアコメディ、堂々優秀賞を受賞して登場!

アホを…真面目にアホをやっておる。こやつ…やりおるな!
MF文庫Jの新人さんは、こういったアホな題材を上手く料理して魅せるので扱いに困ります(笑)
文章と挿絵がマッチしたとあるページを開いた途端、咳き込みながら笑ってしまったのは内緒。

事故に遭い、瀕死の重傷を負った女子高生の響子を救ったのは、大いなる力を持つ宇宙人だった。自分を助けてくれた宇宙人に感謝する響子であったが、その宇宙人…ストライプの正体が「しまパンの形をした宇宙人」であると知り、態度を一転。しかもパンツとしてストライプを穿いていないと命に関わる事態になることが判明し、悲観に暮れる響子ではあるものの、その見返りとして巨大な力を手に入れる。ストライプと協力して響子は失踪した兄を捜すことになるのだが、時期を同じくして響子の周囲で不可解な事件が発生する。

清らかな乙女の股間を包むパンツとしての人生。
ああ…悪くない。悪くない人生だ。
……悪いわッ!(パンツを地面に叩きつける)
まあタイトルを見た時点である程度どういう内容か予想はしていたけれど、まさかこれほど酷い内容だったとは思わなかった。誤解のないように言い直すと、この場合の「酷い」は褒め言葉ね。悔しいことにこんな設定の物語を褒めないとならんとはな!

純情元気娘の響子と、彼女に寄生…という名のパンツとして穿かれている状況にある「パンツ型寄生宇宙人」のストライプとの、心温まるハートルフルなお話。頭のおかしい説明になっているが、その通りなのだから仕方が無い。響子の命を救うため、文字通り身を呈して彼女を守り、その結果として寄生することになったストライプ。こいつ、上手いことやりやがって。とはいえ、男性的な思考を持っていても宇宙人のため、感覚は斜め上をゆく。パンツに寄生されて精神崩壊してもおかしくない響子が、それでこストライプと居続けることができるのは、ストライプの個性のおかげだ。基本、いい奴だからな、ストライプは。時々変態になるけど。ごめん、だいぶ変態になってるわ。

響子とストライプ。二人…一人と一枚の織り成す会話は非常に面白い。これがこの作品最大の魅力かな。アホな設定を真面目にやることで、会話の面白さを生む。新人さんとは思えないほど、会話をしっかり読ませてくれるので、これからに期待したくもある。