飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー 3」感想

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー3 (電撃文庫)

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー3 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
TCGの要素を取り入れた異能アクションエンターテインメント「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー(WWWM)」。
そのプロリーグで華々しくデビューを飾った皿次と陽月だったが、その後は並み居る強敵たちを相手に苦戦を続けていた。
そんな二人の前に、“四季の家”の一角にしてWWWMの主催者でもある秋保家の当主・秋保光流が現れる。
彼が陽月に持ちかけたのは“ある条件”と引き換えに彼女を天空高等民街へ昇格させるというもの……
しかしその裏には恐るべき陰謀が隠されていて──?
“天空高等民街リーグ最強ペア”を従えた秋保を相手に、二人の絆が今試される!!

え?…これでおしまい…だと…!?
や、かなりの不意打ちですね。もっと続くとばかり思っていたから。あらすじにも完結を匂わせる文字がなかったので油断した。う〜ん、残念。

物語の終わりに向かい、広げた風呂敷をパタパタと閉じて行く。
皿次と陽月。二人の信頼関係が試される最後の戦い。素直になりきれず、自分自身を信じきれない二人のすれ違いが描かれる。可能性の限界を感じ、婚約話は天空高等民街に至る切符であり陽月のためになると言い訳をする皿次の姿はほんと「らしく」ない。どんな無理難題が目の前にあっても、足掻いて足掻いて足掻きまくるのが皿次という男ではなかったのか。その気持ちは読者以上に、皿次と共に生きてきたティアが分かっていた。ティア、敵に塩を送るとは…良い女ですわ。ティアだけでなく、木崎もまた恋心を秘めたまま皿次と陽月を送り出すのだから強い娘だ。

そうやって二人は支えられている。素直になれたのは皆のおかげ。吹っ切れた二人の仲を遮るものはもうない。
敵方の明莉と御影。背景が描かれていることもあって、明白な敵とは言いにくい。が、彼等もまた彼等の事情で戦い続けている。そんな最強の敵に、可能性を信じてぶつかり合うラストバトルが熱い。皿次は楽しそうに戦ってるなあ(笑)
この終わりは果たして「終わり」と言えるのか。皿次と陽月は目指す先をもっと読んでいたかった。設定もキャラクターも良く練られているから、これで終わりと思うと寂しい。