飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「絶深海のソラリスII 」感想

絶深海のソラリスII (MF文庫J)

〈あらすじ〉
《ランド・デイ》それは、上陸の日。そして、大海害と並ぶ人類史上最大の災悪が始まった日でもある。『大阪事件』以降その存在が明らかになった未知の危険深海生物アンダー。連邦海軍対アンダー専門の特殊部隊《CHAF》に所属するシャロン=ナイトレイは、深い海の底で死の危機に瀕していた。しかし、その時不意に声が聴こえる――「“最愛の妹”の死の真相を知りたくはないか?」と。シャロンを助けた謎の人物はさらに彼女に告げる。我々の任務は「“切り札”山城ミナトを確保すること」だと。【深海】×【絶望】戦慄の本格パニックノベル待望の第2巻。「クロエが悲しむって、本当よ……ああ見えて、あの子とても心配性だから」

「このライトノベルがすごい!」にて上位入賞したものの、刊行期間が空いたため「これは……続きは出ないのでは……?」と疑っていたのだけれど、ちゃんと2巻が発売されて素直に喜びました。なのでこの言葉を言わせて下さい。

1年とか待った内に入らないわー1年とかー待った内にーはーいーらーなーいーわー。

以上です。感想を書きましょう。

あの惨劇から2年が経ち、世界情勢は目まぐるしく変化。アンダーが人々を殺戮し、蹂躙する絶望的な世界。アンダーは「天災」ではなく「人災」……人の悪意によって引き起こされていることを知る、あるいは知った水使いたちによる戦争が始まる。主人公は引き続き山城ミナトと、生き残ったアイシュが登場し、クロエの姉であるシャロンを「ヒロイン」に加え、コマキを中心としたイギリス諜報部のチームと共にアンダーの秘密に迫る。

後悔に苛まれながらアンダーへの復讐を果たそうとするミナトの狂気はなかなか絶望感があって打ちのめされますね。同じく罪の意識に襲われるアイシュはアイシュで、前回他ヒロインたちほど登場する機会に恵まれなかったことから今回彼女の想いを知ることが出来たのは胸にくるものがある。シャロンはクロエと同じように「難しい子ではあるけど、本質は素直」なので、すぐに二人を許して生きる闘いを始めたのが印象的。コマキは裏のあるキャラだとは思っていたが、アンダーの産んでいると言ってもいい「ファースト」を母に持つ重要な過去を持つ人物とは。元気っ子ウルスラはほん死んで欲しくないキャラです。JDは影薄いな。

まあ分かっていたけど終盤の三体のコマンダー級アンダーとの闘い。この作品、「前科」があるのでチームのみんなが次々破れていくのを「ああ、やっぱりこうなるのか……」とある意味納得して読んでしまった。普通ならこれ、「実は生きてました」のお約束のパターンなんだけどね。監視者側の視点がやたら多くなってくる辺りで察しの悪い僕でも気付きましたが。

この2巻は今後の展開をどうするかの一冊だったかと。敵は恐ろしく強大。チームの連携は最高だが、さて絶望にどこまで争い続けられるのか。