飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「明智少年のこじつけ 1」感想


明智少年の無茶苦茶な推理に対して、ひたすらツッコミを入れる小林くん。
勢い重視のアホな話だなあ、と笑いながら読んでいたが、最後にはキッチリと物語を締めくくってきたのは上手い。

内容の方は、もうタイトルそのまま。
高校生である明智が、天然の入った中村先生が持ち込むトラブルを解決するために推理を披露するのだが…これがもう「こじつけ」以外の何物でもない。しかもその明智の推理の犠牲に…『犯人』に必ずされるのは、明智の幼なじみにしてこの物語の主人公である小林修司。ツッコミが鋭い他は普通の小林が、明智と、もう一人の幼なじみである文美、そして明智の妹である二重に学校で起こるトラブルの『犯人』にされては、結局明智の推理は的外れもいいところでその後あっけない解決を見せる。

明智を中心とした幼なじみズに終始『犯人』扱いされる小林がとにかく可哀想。しかも無茶苦茶な推理が小林だけでなく、学校の皆様の前で披露されることもあるのだから溜まらない。ブラコンの二重とは良い仲の空気が流れるものの、情緒不安定で心が読み切れない彼女に振り回される小林くん哀れなり。各章ごとに中村先生が事件を持ち込み、どう考えても超展開の明智の推理と文美と二重の非難の声で小林を追い込む構図に少し飽きてしまうところもあるが、冗談のような話の合間に幼なじみそれぞれのシリアスな過去や現状が散りばめられていて、それが興味をそそる。特に二重絡みは。最後にはその「幼なじみたちの過去」と「明智のこじつけ推理」の意味が重なって、納得の行くオチだったのは楽しかった。

巻数表記があるのでこの幼なじみズの関係を今後掘り下げてくれそう…ではあるが、この展開が続くと明智のこじつけに飽きちゃうんじゃないかなあ。