飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「期間限定いもうと。 1」感想

期間限定いもうと。1 (富士見ファンタジア文庫)

期間限定いもうと。1 (富士見ファンタジア文庫)


これは面白い。素直に『好き』といえる作品。
沙綾も未実も綺理もみんな可愛い!

周囲から不良と恐れられ友達も少ない三堂想太は家族思いで作家になることを夢見る高校生。そんな想太が通う中高一貫の麓風学園での高校生活一日目に出逢ったのは美少女・北嶌沙綾であった。が、木の上から落ちてきた沙綾を受け止めた想太はその時の衝撃で転び、彼女にキスをしてしまう。想太が事故でキスをしてしまった沙綾は、想太の母が経営する会社の得意先でもある大企業のお嬢様。謝ろうと沙綾の家に押しかけた想太であったが、そこで彼女が祖母の良いなりに生きることを強いられるていることを知って大激怒、沙綾を連れ出し三堂家に迎え入れる。超がつくほどの箱入り娘にして世間知らずの沙綾を期間限定の『妹』にしたことによって、実妹の綺理は反発、幼なじみの未実からは不審がられるなど問題が頻発。果たして想太は沙綾に『家族』の素晴らしさを伝えることができるのか。

沙綾との出逢いはこてこての展開で、彼女を『妹』として迎え入れるまでの流れはやや強引に感じるが、まあご愛敬と言うことで。と、いうよりも沙綾が期間限定の妹になってからの話が非常に面白いので多少の強引さはどうでもいいのさ!(爽やかな笑み)
母想いに妹想いの想太が、許嫁の元に嫁ぐまでの一年間、沙綾の面倒を見ることで家族の温かみを知り人として成長させる。沙綾の祖母の条件付きで認められた共同生活。しかしそこには妹として先輩である綺理がいて、だだ甘状況の沙綾に不満爆発。口ではイロイロ言っているが、大好きなお兄ちゃんを取られてしまった気持ちで一杯になり、反発する反発する。だがそれが可愛い。幼なじみでありムードメーカーでもある元気娘の未実もまた良い。事情を知った彼女の支援無くしてこの話は続かなかった。想太と沙綾の関係を護るために咄嗟に言った『想太と未実は付き合っている』言葉が、これぞ幼なじみっ娘と思わせる。大概の幼なじみに対して思うことだけど、未実も報われて欲しい娘だなあ。

けれどこの未実の嘘の言葉に心がざわついた沙綾が家出。この作品は家族を描きながら、想太と沙綾の関係を兄妹で終わりにするのか、恋人同士にまで発展させるのかがひとつポイントなのかな。条件のせいで想太から手を出すことはないだろうけど、想いまでは止められないから。今はまだ沙綾の気持ちが固まってないから良いが、彼女まで想い始めてはもう止められないぞ。沙綾の許嫁もイメージとは違って良い奴そうなので、今後の登場も楽しみ。

ところで想太の親友にして男の娘キャラのナツキチ。どうにも彼に惹かれないのは「周囲の恥じらい」と「本人の恥じらい」がないせいだと感じる。想太を動揺させるくらいに振り回してくれないと、せっかくの男の娘キャラが無駄になってしまうのでは。