飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ベッドルームで召し上がれ」感想

ベッドルームで召し上がれ (電撃文庫)

ベッドルームで召し上がれ (電撃文庫)


騙された!完全に騙されちまった!
表紙とタイトルから想像していたモノとは違う物語。良い意味で僕をしっかりと騙してくれました。

六年ぶりに東京から陽守市に戻ってきた宵原蓮は、奇妙なモノに取り憑かれていた。見た目は可愛らしいテパという名前の少女は人間ではなく、蓮の『夢を喰う』謎の存在。しかもテパはただ夢を喰うだけでは終わらず、その夢を現実化してしまうのだ。思春期真っ直中の蓮が見るちょっとエッチな夢を現実化しては困らせて面白がっているテパ。蓮以外の人間には認識できないと思っていたテパであったが、転入先の高校で出逢った美少女・黒噤ゆずりにはテパが見え、更に突然蓮のことを「蓮さま」と呼び慕い始める。困惑する連を、ゆずりの姉であり学園の所有者でもある合歓が強引に誘ったのが『ベッドルーム』と呼ばれる場所。そこはゆずりと合歓を含めた五人の少女が安眠を得るための空間であり、また少女たち全員が蓮と同じく夢を現実にする存在に取り憑かれている。が、彼女たちに取り憑く存在『禍玉』はテパのような『禍姫』とは違い、選り好みせず『悪夢』を喰らう。『悪夢』から少女たちを救う手段…それは『添い寝』であった。

表紙・タイトル・あらすじ。この三つに見事騙されました。いい加減「騙された!」って言い続けるのしつこいですが、騙されたのだから仕方がない。
確かにこれはラブコメではある。が、同時にどす黒い面も併せ持っている。『ベッドルーム』で悪夢を喰う存在に添い寝してイチャイチャして解決する。そう書くと非常に桃色な展開に見えるが、実際は『悪夢』を見るほどのトラウマを背負った少女たちの苦しむ姿を読むことになる訳で、正直面食らった。サクッと読み進められると思っていただけに不意を突かれた感じ。だけどそれが『期待はずれ』にはならず、それどころかその不意の突き方が非常に上手い。ぐっと物語に引き寄せられて、鳥肌が立った。そして心に「ドスン!」とくる真実。思わず声を上げるも、それまでの伏線と繋がって「なるほど」と納得…したかと思ったら、最後に突きつけられる真実の裏側。ひっくり返してくれなあ。合歓さん、貴女が最高に好きです。

今後明らかになっていく少女たちの『悪夢』の元になるトラウマ。それをエッチな夢ばかり見てしまう蓮が、添い寝することで癒してくれるだろう。