「ここから脱出たければ恋しあえっ 1」感想
- 作者: 竹井 10日,かれい
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: 文庫
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密室空間から脱出する話は大抵「殺し合い」をするものだけど「恋し合い」なんですね。
ということで竹井10日さんの描く密室恋愛ロワイアルだそうです。いや、そんなジャンルはともかく、書いているのは間違いなく竹井さん(笑)
ちょっとおかしなお坊ちゃま高校生・高炎寺悠真は謎の宇宙人に攫われた挙げ句、密室になった学校に閉じ込められてしまう。しかも学校に閉じ込められたのは悠真だけでなく、合計六人の少年少女。コンクリートで固められた学校から脱出する方法はひとつだけ。それは「恋をする」ことであった。学校に配置された謎を解き明かすことで恋を芽生えさせた男女に脱出アイテムを与えるという。何処か恋愛観のおかしい少年少女たちは否応なしにこの『恋愛リアル脱出ゲーム』に挑むことになる。
そう竹井10日作品を読んでいる訳ではないけど、他の作品に比べて読みやすい方だと思う。
密室になった学校に閉じ込められた男女六人には竹井10日らしい味付けがされていて実に個性的。と、いうか個性しかないよ此奴等!
噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか分からない会話のキャッチボール…ではなくドッジボールが面白い。ツンデレ少女の美羽、天然の入った素直クールの紫苑、兄愛溢れる実妹の乃々、悠真の下僕にしてメイドの椛。そんな魅力的なヒロインよりも優遇されている美少女にしか見えない少年・千早に惹かれる悠真の姿はお約束すぎて笑ってしまう。あと口絵の並び順だけを見ると、メインヒロインらしい美羽の扱いが酷い気がする。僕としては兄に異常なまでの執着を見せる乃々に惹かれつつも、やっぱり下僕の椛が好き。悠真と椛の歪んだ主従関係はほんと愉快ですな。今回でハーレム願望を全面に押し出して脱出したものの、巻数表記があるのを見れば丸分かりの展開に突入。椛にまだチャンスはある!…あるよね?