飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「楽園島からの脱出」感想

楽園島からの脱出 (電撃文庫)

楽園島からの脱出 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
高校生活最後の夏休み。無人島に集められた100人の男女が島からの脱出を目指して競い合う。ゲーム名【ブリッツ】──鍵を握るのは、自身とペアの“価値”!? そして、女性だけに与えられた謎の機器の持つ意味とは──?「極限ゲームサークル」から“変わり者”として要注意される主人公の沖田瞬は、このゲームの本質にいち早く気づくが……。土橋真二郎が贈るノンストップ《ゲーム》小説最新作、早くもスタート!

「いったいこの先なにが起こるのか…?」
土橋作品はこのドキドキ感…緊張感が堪らなく気持ち良い。そしてそれを期待させてくれるこの作り。いや、面白いね!
密室…無人島で高校生男女100人が行う極限の脱出ゲーム。提示されていくゲームの設定という名の部品が絶対に何らかの意味を持って登場人物たちに降り掛かる。そしてゲーム最大の部品『鍵』として用意されたのが、男女ペアの関係性。最初はこのペアがどういうことに繋がるのかサッパリ分からず、男女それぞれのゲーム設定を見せられてもピンとこない。しかしこの男女の関係性…まるで恋愛シミュレーションを取り入れたかのようなゲーム設定が、とんでもない衝撃を少年少女たちにもたらすことになる。この関係性を見破り、どんなゲームであるかを誰よりも早く認識したキレ者の主人公・沖田。優等生でも、普通でも、劣等生でもない沖田は、とにかく掴み所がないのであるが、最後にこのゲームで何かやってくるという妙な期待感が湧く人物。個性豊かな女性ヒロインたちとの関係を築きながら、冷静にゲームを見据える沖田は、ゲームをゲームとして終わらせる可能性を断ち切ってしまい、更なる混乱を呼びこんでしまうのか。本気になってしまった高校生プレイヤーたちは、この閉じた無人島でどう思考を巡らせて戦うことになるのか。沖田の相棒である利央と、彼女の異常を治そうとする沖田の歪んだ関係は極限ゲームにどう影響するのか。この先の展開にわくわくとした疑問だらけ。物語は開けたばかり。土橋作品らしく黒い感情に支配された人間がどんな行動を取るのか、僕たちに魅せて欲しい。
ところでこの手の話を読むと「自分はどんな行動を取るか?」というのを頭の中でシュミレーションしてみるのだけど…はい、須藤に屈服してそこらに放り出されました。せめて未来ちゃんとペアになりたかった…(妄想)