飼い犬にかまれ続けて

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「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー 2」感想

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー2 (電撃文庫)

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー2 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
TCGの要素を取り入れた異能アクションエンターテインメント「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー」。
皿次と新たなペアを組み、そのプロデビュー戦を控えた陽月は、対戦相手である寄辺兄妹の絶対防御と弓矢による遠隔攻撃に対抗するため、新たな力を習得して、皿次のスキルの活用法を模索していた。そんなある日、二人の前に“詐欺師の少女”が現れる。彼女は皿次を地下貧民街に連れ戻すと宣言し!? 
注目の電撃大賞<銀賞>受賞作第二弾!!

今回は皿次の幼なじみ娘が参戦。デビュー作である前回はダブルス・マネーと陽月との関係の話が主体で纏められていたため、多くは触れられなかった『地下貧民街』について語られている。
陽月との距離が近づいたのは感じるものの、どれくらいの距離に縮まったかまでは図りきれずに彼女を意識する皿次が可愛いのですが。年頃の男の子らしく好意を寄せる異性に対する反応が実に初々しい。皿次は陽月の自分に対する想いが読みにくいと言うが、彼女は随分と素直に皿次に接しているように見える。
そんなコンビの前にやってきたのが『地下貧民街』にいるはずの幼なじみティア。皿次を拾ったコミュニティの長の孫である彼女は、皿次を連れ戻そうとする。『一流の詐欺師』と皿次に呼ばれるだけあって一筋縄では行かない性格のティアは、今回の物語の鍵を握る人物としてコンビを振り回す。今ではクラスメイトに受け入れられているほど変わった皿次は、かつて自分があれほど腹を立てた差別を『地下貧民街』の人間であるティアに対してやってしまったことを悔いて反省するところから彼の心の成長が伺える。またそんな皿次を追って暴れる陽月の行動はほんと分かりやすいよ。
ティアを利用し、皿次たちのクラスメイトを騙してステージ外で敗北に追い込もうとした今回の対戦相手であり首謀者である『寄辺兄妹』を、ダブルス・マネーで騙し返して勝つのは痛快だった。人の想いを踏みにじって前に押し進む寄辺兄妹と、人の想いを確かめながら一歩一歩前に進む皿次・陽月コンビの想いの違いが結果に現れた訳ですね。陽月の新たな力が披露されて良かった。
今回もまた陰の功労者であった木崎であったが、皿次と陽月の関係への想いが危うい方向に行きそうな雰囲気が。それを見抜いたティアとの関係もそうだけど、好きなキャラクターなだけにどうにも心配。しかしこれだけフラグを立てておいて何もない、というのはないよなあ。