飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「神曲奏界ポリフォニカ エイフォニック・ソングバード」感想

神曲奏界ポリフォニカ エイフォニック・ソングバード (GA文庫)

神曲奏界ポリフォニカ エイフォニック・ソングバード (GA文庫)

〈あらすじ〉
「神曲楽士」と呼ばれる人々が、精霊のために「神曲」を奏で、精霊はそれを糧として人に様々な恩恵をもたらす。ここはそんな世界。
優れた演奏技術を持ちながらも、神曲楽士を目指す事への情熱を失い、流されるようにトルバス神曲学院へ転校してきたラグナスは、そこで驚くべき少女と出会う。
彼女の名はウリル。誰よりも精霊が大好きで、底抜けに明るく、ひたむきに神曲楽士を目指す女の子だ。
ところが、実はその明るさは形だけのもの。彼女は音楽を志すものにとってとてつもなく致命的な問題を抱えていて……!?
榊一郎×カントクが贈る、新世代ポリフォニカ登場!

もう二年半前にゲーマガでやっていた作品になるのか。完全に読み零していたのでこうして一冊の本になってくれたのは嬉しいね。
ポリフォニカといえば作品事のカラーであるが、今回は無し。元気娘のヒロイン・ウリルの身体的な問題を知ると色がない…『無色』と言うのは考え過ぎかな。
トルバス神曲学園を舞台にし、部活動にも励むため学園ラブコメのような展開を見せる今回のポリフォニカ。赤ポリの過去編は学園を舞台にしているものの、外に出て行くことが多かったからなあ。主人公・ラグナスは、才能を持っているが、全ての評価が「高名な神曲楽士の甥」で終わってしまうことに失望している少年。神曲楽士になることに対して完全に冷めた態度を取るラグナスは「耳が聞こえない」ハンデを持ちながら、明るく笑いながら神曲楽士を目指すウリルに惹かれていく物語。自らの可能性に絶望しそうな状況の中で元気いっぱい願いを叶えるため努力するウリルの姿は心を温めてくれる。ひねくれた性格をしていたラグナスが、ウリルの可能性を捨てない生き方に魅せられて惚れ込み、彼女の夢を叶えようと必死になる。その素直な姿勢が読んでいて「いやあ青春って良いですよね!」と思う訳です。
榊さんの自ら書いていることもあり、脇役として登場するフォロンとコーティカルテが生き生きしていたように思える。二人の姿が「新婚夫婦」に見えると言われて異常に喜ぶコーティカルテはやっぱ可愛いのぉ。