飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。」感想

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。 (GA文庫)

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。 (GA文庫)

〈あらすじ〉
戌亥慎太郎は、ある日突然不思議な手錠で女の子と離れられなくなってしまった。
相手は地味な同級生の此花つぼみ――だが彼女は眼鏡を外すと超絶キュートな女の子だった!?
「戌亥さん、そのぅ、背中を洗ってくれませんか」
「いいぜ。後悔すんなよ」
「何されるんですかわたし!?」
「スベスベにしてやんよ!」
絶対に外れない手錠のせいで、お風呂に入る時さえも、離れられない二人。
おかげで幼馴染みや委員長には変な勘違いをされ、戌亥の青春最前線は大波乱!
此花と『恋人』になれば手錠は消えるらしいのだが、そこには大きな運命の罠が!?
ゼロ距離拘束ラブコメディ開幕!

海空りくさんはラブコメ書いても全く問題ないですね。お約束の展開を外さず、安心して読めました。
人相の悪さから友人の少ない主人公・戌亥慎太郎と、自虐的な発言ばかりの地味っ娘・此花つぼみが二人にしか触れない手錠で結ばれたことから始まるラブコメ。マンガやラノベで「手錠で縛られて離れられずに仕方なく共同生活」する話はあるが、それも一話完結方式のものが多いため、手錠で拘束されてからお互いのことを知っていく長編は実は珍しいのではないかと。人相に似合わずお節介な戌亥が「手錠を解く=此花の恋を成就させる」ため、幼なじみ娘の美咲や親友の暦の力を借り、ネガティブ思考の彼女を更正させようと奮闘する。もはやこの手の話の鉄板「様々な理由でお互いの両親が不在」である設定のおかげで共同生活を始めた戌亥が、手錠で繋がれた相手が野暮ったい格好を解くと、とんでもない美少女であることに気づいたことからドキドキを増す展開は男らしい。現金な奴だ!
戌亥と此花の掛け合いは面白いなあ。というのも、ネガティブな発言が多い此花だけど、戌亥のことは信頼していてイロイロと突っ込んでモノを言ったり、受け入れているからこそ行動が無防備だったりと、結構な天然ちゃんなのがしっかり者の戌亥と合うんだよ。相手が戌亥じゃなかったら大変なことになってた…ってまあ最後まで読むと相手が戌亥でなければこんな状況にはならなかったんだけどね。物語中、此花の意中の相手に描写がほとんど裂かれていなかったことから、一体どういう人間かは予想はついて、予想通りの展開に突入。そして戌亥さんの見せ場となりました。しかし戌亥はいくら何でも過去に此花との繋がりがあったのを思い出して良かったんじゃないかと思う訳で…え?あ、はい。ラブコメの仕様でしたね!
此花との結びつき(心身共に)が強くなったことで、幼なじみの美咲の不遇っぷりが今後気になるところです(泣)