飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「お前をお兄ちゃんにしてやろうか! ?」感想

お前をお兄ちゃんにしてやろうか! ? (MF文庫J)

〈あらすじ〉
両親を知らずに育った陽一の元に、実の父の訃報が飛び込んできた。その父から陽一へと残された遺言は――5人の「妹候補」から、妹を1人"だけ"選ぶことだった!?
「……働きたくないです。お兄ちゃんといっしょにだらだらしたいです」(by世霊音)
「勝負だ! あたしが勝ったらにーちゃんは……あたしを妹にすること!」(by友美)
「お兄様は私を選んでくださいますよね? それが運命なのですから」(by小百合)
「ボクは女の子になりたいから、ボクを兄さんの妹にしてほしいんだ!」(by優希)
「にーちゃまの妹になったら、みーちゃんお金持ちになれるの?」(by美佳)
一癖も二癖もある妹たちと贈る、ドタバタ兄妹コメディーここに開幕!!

と、いうことで妹モノ作品です。ちなみに僕は実妹や義妹よりも、従妹派です。何のカミングアウトなのか自分でも良く分かってません!(清々しい笑顔)

祖父母に育てられた陽一に舞い込んだのは実の父親が亡くなったという報せ。そして総資産1兆円を持つ大企業の社長=父親の相続人となった陽一は、おかしな内容の遺書に従いある女の子たちと一緒に過ごすことになる。五人の妹。陽一を含め全て母親の違う妹たちの中からひとりだけ『妹』を選び、それ以外の妹は『妹』では無くなる。陽一に選ばれた『妹』しか遺産が相続出来ない旨が記された遺言に従い、『妹』を選ぶため奇妙な共同生活を始める。

タイトルとは違い、「兄・陽一が五人の妹から遺産を一緒に相続する妹をひとりだけ選び出す」ため、通い妻(?)のように陽一が一日ごと、同じマンションに住むそれぞれの妹を訪ね、交流を深めるというもの。それぞれの事情によって母親がいない中、ひとりで生きている妹たち。引きこもりにゲーマーに腹グロに男女にロリッ娘と、妹のバリエーションには事欠かない。関係が異母兄妹とあってか、ラブコメ要素は思っていたより高くなく、「家族の絆」に重きを置いている作品だった。

ひとりひとりの妹にスポットを当てるため、章ごとにピックアップする妹が違うことで妹同士の交流が後半になるまでないのが残念だったかな。主人公(男)とだけでなく、姉妹の戯れもなかなか良いかと。
「陽一の妹になる=莫大な遺産相続でウハウハ!」という図式が分かるだけに、妹たちをかなり「現金」な人間として捉えてしまう。まあ実際、腹グロちゃんもいるから。陽一もたまに上から妹たちを見ての発言もあったので、好きになれるタイプの主人公ではない。妹の中には頑張っている娘もいるので選ぶならこの娘がいいなー、と思っている僕もだいぶ駄目だけど。あとダメっ娘はダメっ娘で救いの手を出さないと死んでしまいます。

最後には絆のようなものも生まれ、タイトルに戻ってくる作りは良かったのかな。姉妹の人数もあって、薄味な作品になってしまっているのはモッタイナイ。