「黒のストライカ 5」感想

黒のストライカ　５ (MF文庫J)

ますます盛り上がる『黒のストライカ』！
巻を重ねるごとにどんどん面白くなっていく。

空暮市を離れた椋郎たちに、蝦夷井を始めとする大目天の追っ手がかかる。その追っ手を振り払い逃走を続けながら、椋郎は自らの力の根源である欲望を制御するために修行を始めるのだが…欲望を御す修行なのを良いことに眷属たちの熾烈なセクハラ行為に悩ませられることに。そんな椋郎の逃走劇を余所に、ひとり残されたしはるにジークフリードの魔の手が迫る。

椋郎が今まで目を背けていた欲望の力と眷属たち。そして人間ではない自分としはるの関係。その三つに向き合い、最後には大切な場所を取り戻す流れが熱い。とはいっても、序盤は温泉シーンから始まり、椋郎が欲望を制御できるようになるため望んで眷属たちのイヤらしい行為を受け入れたのに考えていたモノとは過激な方向へ行ったりと、別の部分が熱くなることもしばしば（ぉぃ）しかしシリーズ開始時よりも、MF文庫Jのレーベルカラーに染まってきたよな。それくらいに眷属たちが華やかだ。十文字さんがMF文庫Jのレーベルカラーに沿うジャンルも書けると示すのはとても…とても良いことだと思う。

ジークフリードがしはるを椋郎の元に連れ出し真実を見せることで更なる絶望を椋郎に与え得ようとしたが、椋郎の言うとおりしはるさんを侮りすぎだ。しはるが椋郎の本当の顔を知ったところで心変わりする女性ではない。だから椋郎が心酔しているんだよ。しはるの椋郎を想う言葉がカウンターパンチになって、一転ジークフリードを倒す力になり滅ぼすまでに。日常に戻り、しはると想いを通わせ始め、眷属たちと平穏な生活を送り、蝦夷井を仲間に加えてタヤチナをも取り戻す完璧なハッピーエンド道に「あれ、これ完結しちゃう？」と思ったが、『白の血族』との決着はまだだった。

物語には一区切り付いたので、暫く間が空くのかなあ…僕としては想いと役者の揃った今の『黒のストライカ』の学園生活が非常に読みたいのです。非常に読みたいのです（重要なことなので二回言いました）