飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「デーゲンメイデン 1.台場、両断」感想

デーゲンメイデン  1.台場、両断 (富士見ファンタジア文庫)

デーゲンメイデン 1.台場、両断 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
Dアーム。それは、長い時を経て異能と人格を得た伝説の武器たちの総称。彼らは、気まぐれに人と契約し、力を発揮する。
「この馬鹿者が! 何故あの時に斬らないのじゃ!」
柳眉を逆立てて非難する美少女Dアーム――銘刀・薄緑。
「だいたいテメェがフラついたから逃したんだろうが!」目つきの悪い伝承者――薄緑の相棒・若林練司。
ケンカしながら二人は戦う。どうしても会いたいヤツがいるから。初任務はある少女の護衛。簡単な任務に思われたが!?
『契約は果たされた――さぁ、願い事を言え』
ヒトと剣がしのぎを削る古今東西名武器バトル、開幕!

実に富士見ファンタジア文庫らしい物語で良かったあ。
過去の偉人が使っていた異能の武器『Dアーム』そのDアームの使い、犯罪を起こす者を狩る主人公・若林練司もまたDアームの使い手『継承者』であり、『弁慶機関』なるDアームに纏わる事象に対象する組織に身を置く者であるのだが…まだ実戦経験のない新人で、これがもう頼りない。大切な人をDアームによって奪われた練司は、意気込みとは違い、人を殺すどころか傷つけるのも躊躇するヘタレっぷり。しかし勿論それで終わってしまったら意味がない。そんな練司を奮い立たせるのが二人のメインヒロインだ。ひとりは練司のDアームであり、かつて義経の刀であった薄緑。練司の大切な人…幼馴染そっくりの容姿に化ける薄緑は年の功からか練司の尻を叩くのが上手い。また四つの人格を持ち、その内のひとりである膝丸は凶暴な性格ではあるものの、扱いさえ分かれば強力な力になってくれる。
そしてもうひとりが練司が護衛することになる成り立て『継承者』の少女・島原糸。人を不幸にしてばかりと落ち込む大人しかった彼女が、練司の不甲斐ない姿に押し込めていた本音を爆発させる。年下の少女から放たれる正論は効くなあ(笑)それだけに覚悟を決めることが出来たのだけど。
最初の敵は、練司が覚悟を決めて成長するにはベストな壁だった。読み手からしてもDアームと継承者、弁慶機関と敵対する組織の存在などの関係が非常に分かりやすい展開になっている。設定を読者に刷り込んだところで、お楽しみの伏線が終盤ドカドカ出てきて今後の展開に期待が高まる。
今回出番の少なかったライラであるが、終盤の制服姿(しかも後輩かよ!)を見るに、ヒロイン要素は強いぞ。薄緑と糸の間に割って入ってくれ!