飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「りゅうおうのおしごと! 9」感想

りゅうおうのおしごと! 9 (GA文庫)

〈あらすじ〉
夜叉神天衣。
わずか十歳にしてタイトル挑戦を決めたシンデレラは、両親の墓の前で誓いを立てていた。
「お父さま、お母さま。必ず女王のタイトルを手に入れます……私たちの夢を」
しかし彼女の前に立ちはだかるのは、史上最強の女性棋士にして師匠の姉弟子――空銀子。二人が争うのは女王のタイトルだけなのか、それとも……?
《浪速の白雪姫》と《神戸のシンデレラ》が遂に激突!
アニメ化も果たしますます過熱する盤上のお伽話、家族の絆と感動の第9巻! シンデレラの頬を伝う一筋の涙を、若き竜王の飛車が拭い去る――!!

3ヶ月更新が滞ったと思ったら、二日連続更新します。余裕のある時に出来るだけ更新しとかないと。(次男5ヶ月の泣き声を聞きながら)

あいちゃんよりも天衣派の僕です。だってあいちゃん怖いんですもん……(ガクブル
銀子に挑戦する天衣。八一と出会った時点で完成されていて、いつも強気でいた天衣が、銀子という壁にぶつかり悩み葛藤する回。あいとは違って成長を描きにくいキャラクターだっただけに、この葛藤劇の中で「心の成長」を丁寧に示せて胸が熱くなる。あとこの熱量。「愛」を知った天衣の強さよ。ハ一は人たらしっぷりは相変わらずだなあ。

天衣の視点からは銀子は「化物」のように描写されていたけれど、それは女流としては、であって銀子は銀子で「将棋星人」という「化物」に怯えているという地獄……深い、恐ろしいまでに深い世界なんだ。それを読者側は知ってるので、この先少女たちにどれだけの壁が立ちはだかるのか。上を目指すのであれば、銀子だけを打ち破れば良い訳ではないし。

もうこの作品も9巻になるのね。そんな気がしないほど熱量に背中を押されて読んでました。

「ラグナロク:Re 2.獣たちのミメーシス」感想

ラグナロク:Re 2.獣たちのミメーシス (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉

白の兇刃、踊る――

我が相棒リロイ・シュヴァルツァーとカルテイルとの戦いの中、突如現れたのは“殺戮の淑女"レディ・メーヴェと“闇の種族(ダーク・ワン)"アシュガン。そしてアシュガンによって、カルテイルは何処かへと連れ去られてしまうのだった。その奪還を依頼された相棒は、行動を開始する。その身にナノマシンを宿すテュール・ヴァイスや、人ならざる存在でありながら、人を模倣(ミメーシス)する者たちとともに……。
――そういえば私も人の姿をとる者のひとりであった。
名はラグナロク。リロイが振るうひと振りの剣。それが私だ。時代を超えて再構築された、バトルファンジーの金字塔。第2幕。

平成最後のコミケ、皆さま、お疲れ様でした。三日目は某所でお手伝いをしていましたが。最終日は曇り模様で連日の猛暑と比較するとマシだったのかな、と。それでもジトジトしていて汗が吹き出し、油断するとよろしくない事態が起きそうな位には暑かったです。暑さ対策のパピコ経口補水液と梅飴に助けられた一日でありました。後は完売して良かったなあ。会いに来てくれた方には感謝感謝です。

はい。コミケ感想を書いたところで書きたくないことを書くと3ヶ月ぶりの更新になります。全ては「Fortnite」が悪い。マジ半端ないって、Fortnite……気になった方は検索してプレイしてください。課金率はそれほど高くないのにガッツリ遊べますよ(沼)、このまま「Fortnite」の感想に突入しそうなので本題入りまーす!

前回のリロイVSカルテイル戦から引き続くという、スニーカー版を読んでいる方からすると「おっ」とする展開からスタート。なんかもう大筋の流れはスニーカー版と同じだけど、その時その場所にいてもおかしくはないキャラクターが次々登場する流れを面白いと思う一方、キャラ多すぎなので新規さんはついてこれてるから心配になる。

キャラの多さ以外は良く直されていて、話の流れは把握しやすくなっている。それと「ラグナロク」らしさは健在で敵味方に対して「慈悲のなさ」「容赦のなさ」は相変わらずだな、と。まあこれが読みたかったのだけど。ヴァンパイア戦もテュール戦、そこから続くアシュガン戦と読み応えがあって楽しかった。リブート版になってからのレニー株の上昇はヤバイ。こんなに活躍するキャラに変わるとは。カレンもだけどね。

そして読んでる最中思ってたよ、ベストラさん、どこいった……。

「ラグナロク:Re 1.月下に吼える獣」感想

ラグナロク:Re 1.月下に吼える獣 (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
人ならざる怪物“闇の種族”が跋扈する世界。私とともに旅をするリロイ・シュヴァルツァーは、傭兵として各地を放浪していた。そんな相棒にある時舞い込んできた依頼。一見容易な依頼のように思えたそれは、リロイを亡き者にしようとするための罠であった。さまざまな暗殺者、エージェント、そして“闇の種族”が相棒に襲いかかり、私もその面倒な災難に巻き込まれることになる。―そういえば自己紹介がまだだったな。私の名はラグナロク。リロイが携えているひと振りの剣、それが私だ。時代を超えて再構築された、バトルファンタジーの金字塔。第1幕。

止まっていた時計が……ついに動き始めた!
ヤスケンラグナロクのリブート版を「なろう」で連載始めた時は驚いたものですが。しかしどうにもディズプレイ越しに文章を読むのが苦手だったので、文庫化は嬉しい。ありがとうオーバーラップ文庫!でも再販するのはガガガ文庫かな、と思ってたのは内緒です。ほら、某暗黒ライトノベルも再販した前例があるから。(震え声)

元はスニーカー文庫で発売されていて、結構な巻数が出ていたシリーズです。当時高校一年生くらいだったか、テレビCMが流れていたのをキッカケに購入。無茶苦茶強くて無茶苦茶な言動する黒ずくめの傭兵・リロイ。そして1000年前、超古代文明が作り出されたオーバーテクノロジーの「喋る剣」ことリロイの剣=ラグナロク。本作はラグナロクの視点を通し、魔族・魔物的立ち位置の「闇の種族」(ダークワン)や、人智を超える強さと狂人としか思えない思考を振りかざす人間(なのか本当に?)たちと対決していく。

とにかく常識というものが通用しないキャラクターが次々現れる。もちろん、リロイとラグナロクも園中に含まれている。この第1巻は一人と一本のコンビが、とある街を支配する巨悪の組織に命を狙われたことから大量の死人を出す殺し合いに発展する。巨大な陰謀が渦巻いているのだけど、リロイの考えからすると「ケンカを売った・買った」というどうにもレベルの低い話になるところが凄いところ。そしてある意味筋は通っている。

1巻はスニーカー文庫の新人賞作品だったため、まあ一冊で終わっても不思議ではない作りになっていたが、リブート版として蘇った本作は後に登場し物語に深く関与するキャラクターがこの時点で参戦。この時点で出ていても問題ないどころか、この先の展開を考えると出張ってきた方が良いキャラクターばかりのため、かなり読みやすくなっていると僕は感じた。

この「ラグナロク」シリーズの魅力は、物語以上に、何度も言っている通り狂人としか思えない思考をしているキャラクターが次々投入されるところ。スニーカー版は本編の他、ラグナロク以外の視点でリロイの過去を始め、様々なキャラクターに焦点を当てた外伝作品もあり、そちらからも本編の方に参戦してくる。キャラクターが多すぎるのだが、個性豊かすぎて忘れることがないのは、ある種恐ろしいキャラクターの作り込みだと思う。リブート版では本編と外伝の境界線をどう扱うのか。可能な限り作品を丁寧に扱って進めて欲しい。ここまで待ったのだから、どこまでも待ちます。

あと僕のスニーカー文庫版の1巻を借りパクした高校生の同級生くん。そろそろ返してくださいお願いします比較もできない。(泣)

「誰が為にケモノは生きたいといった」感想

誰が為にケモノは生きたいといった (ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
「目のやり場に困ってるんだよ。それとも誘ってるのか?」上官殺しの罪で現世には二度と戻れないという絶対流刑の地『棄界』に送られた魔術猟兵のイオリ・ウィンウッドは、湖で溺れかけていたところを少女に救われる。獣の耳と尻尾を生やし身の丈ほどの大剣を持つ全裸の少女はタビタと名乗り、匂いを嗅いだりとイオリに興味津々で…。そして父親の仇であるイオリを殺すため自ら『棄界』に来た女騎士ユーフェミアも巻き込んで、タビタの地竜狩りを手伝うことになるのだが…。「イオリが行く所、私、行く」生きなければいけない呪いを背負った少年と、ケモノの少女が紡ぐサバイバルファンタジー!

感想ブログよ、私は帰ってきたッ!
はい。前回の更新からだいぶ空きました。でもまだ1ヶ月は経過していないのでセフセフ。全てが「モンスターハンター・ワールド」がいけないのです。発売から3ヶ月が経とうとしていますが、アクション性が癖になるので未だに飽きずにやってます。我が愛する大剣、真溜め斬りが気持ち良くて堪らんです。ちなみに本作のヒロインの武器は大剣です。(無理矢理繋げる)

堕とされたら二度と戻ってはこれない流刑地、棄界。仲間を殺した罪で棄界に墜とされた魔術猟兵の青年・イオリ。直後、巨大な化物に襲われたところを棄界の民……棄界人の少女・タビタに救われる。人とは少し違う容貌しているタビタは、髪の一部を大きな剣に変えて戦っていた。そんなタビタに気に入られたイオリだが、彼はこの棄界の何処かにいるであろう「ある人物」を捜す密命を帯びていて……。

ニリツ神のイラスト美しい。
もう読み始めてすぐに分かる榊一郎節というか。もう書いてるの間違いなく榊さんだよね、な作品でした。安心感というか、物語に道筋が立っているから読みやすい。反面、意外性がないのは良いのか悪いのか。

本来であれば戻ってこれない流刑地だけど、過去に落とされた王族を捜し出せば元の世界に戻してやる。そんなミッションを帯びたイオリ青年の物語であるが、危険な流刑地であるにも関わらず、どこか緊張感に欠けるのはイオリが手練れだからか。それともまあ始まったばかりの1巻であるからか。イオリが殺したらしい上官の娘・ユーフェミアは「父の仇!」と言いながらもイオリの背中を追いかけて棄界まで追いかけてくるデレっぷり。天然ケモノ娘のタビタは健気で可愛いし、イオリはもうずっと棄界にいてもいいんじゃね?、と思うレベル。

流刑地での荒くれ者とのバトルと陰謀もサクッと解決して一冊に収めてる安心仕様はやはり流石だった。この後の盛り上がりに期待。

「機動戦士ガンダム ヴァルプルギス 1」感想

機動戦士ガンダム ヴァルプルギス 1 (角川コミックス・エース)

〈あらすじ〉
宇宙世紀0089年 グリプス戦役、そしてハマーン戦争が終結し地球圏は平和を取り戻したかに見えたが…。サイド2の“オリンポスコロニー”に暮らす高校生の少年マシロ・オークスは、父トニオによって「物事に全力で取り組む事」を固く禁じられていた。マシロはその戒めを破り、才能を見せつけるかのようなゲームプレイ動画をアングラのネットワークに公開してしまう。それが危険を呼び込むとも知らず…。そしてエゥーゴの新鋭艦ユーロンが現れた夜、一条の光がオリンポスの外壁を貫いた。

ツイッターのタイムラインにRTされてきて、反射的に購入を決定しました。久しぶりにガンダム系の外伝作品読んだけど面白い作品は面白いよねえ。(当たり前)

舞台はグリプス戦役から続いた第一次ネオ・ジオン抗争終結から半年後。サイド2のコロニーで暮らす少年マシロは研究者の父から「本気を出してはいけない」という不可思議な厳命を課せられていた。しかしゲームで本気を出し、それをネットに投稿したことをキッカケに、マシロを狙う者たちが次々コロニーにやってくる。果たしてマシロの正体とは? そして新たなガンダムとは一体何なのか? 謎多きガンダムサーガ開幕!

機巧少女は傷つかない」の海冬レイジが脚本を務める今作。パプテマス・シロッコの怨念だったり、ハマーン・カーンそっくりさんが登場したりと死人が前へ前へと出てくるガンダムシリーズとなっています。まあ後者はフル・フロンタルみたいな強化人間の一種なのかな。

現状、分からないことだらけ。マシロはシロッコにまつわる存在らしいけど、え、あのシロッコさんですか? カミーユ先生の心を連れて行っただけでは物足りなかったんですかね。マシロの中にシロッコの魂(=心)がありそうな感じだ。ヒロインらしい女の子もマシロとまだ会話らしい会話なしだし。「ジ・Oガンダムになる」って帯も謎ではあったが、なるほど、そういうシステムなんですか。これはあれだ、親父、早く息子に話してやれよ……(死亡フラグ)

「妹さえいればいい。 9」感想

妹さえいればいい。 9 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
相生初に続き、第15回新人賞受賞者たちの作品が続々と刊行された。那由多に憧れる笠松青菜もどうにかデビューを果たすのだが、待っていたのは酷評の嵐だった。伊月はそんな彼女の姿に自分のデビュー当時のことを思い出し、励ましの言葉をかける。一方、いよいよ放送が近づいてきた『妹のすべて』のアニメ制作ではさらなるトラブルが相次ぎ、京はいよいよ就職活動が始まり、千尋の前にもお掃除ロボットではなくちゃんと人間のライバルが登場する。大人気青春ラブコメ群像劇、妹がいっぱいの第9弾登場!!

ようやくタイトルに準ずる展開になってきたような。那由多とくっついて、トラブルはありながらも仕事はまあまあ順調である今、全てをひっくり返すにはやはり「妹」という爆弾が必要であった。

今回は「妹」続きの巻であった。特に青葉さんが伊月にデレるまでの流れはお約束すぎて好きです。しかし「お兄ちゃん」と呼ぶまでに仲が発展するとは思わなんだ……あとそれを容認する那由多も那由多でどうかしてます。まあこのカップルは基本、どうかしてるのだけど。

「妹」続きで鬱憤が溜まる千尋さん。真の妹なのに妹と言い出せないもどかしさよ。導火線に火がついていたところでこのラスト。まあドカンと行きますわね。これで「なにいってるんですかー」みたいな展開でなかったことにするのは無しの方向で(笑)

もう10巻の大台に乗るから安定せず荒波のような流れにして欲しい。