飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「森羅万象を統べる者 万物創造」感想

森羅万象を統べる者 ?万物創造? (MF文庫J)

森羅万象を統べる者 ?万物創造? (MF文庫J)

〈あらすじ〉
「私と――付き合ってくださいっ!」
御園日向は幼なじみの綾川鈴莉と一緒に暮らし始めてから7年、ついに鈴莉から告白されて、念願のイチャイチャラブラブな日々を過ごすはずだった。
そこへ突如転がり込んできた、従妹を名乗る女の子・皐月。今、3人の同居生活が始まる。
「ひなくんっ♪」「お兄ちゃん!」「俺に従妹がいるなんて聞いたことないんだが……」
万能の異能を持つ皐月に振り回されつつも全力で鈴莉との恋人生活を堪能する日向。
だが、<<御園>>本家をめぐる事件に巻き込まれ――!?
第8回新人賞デビューの激甘イチャラブ×異能バトルアクション、開幕!!

なんですかこのイチャイチャっぷりはー!
心に湧き上がるこの感情は…間違いなく嫉妬!歯軋りするほど羨ましい!でもサクサク読めるからページを捲る手が止まらない!悔しい!

飄々とした主人公の御園日向と、ぽわぽわした性格のロリ巨乳ヒロインの綾川鈴莉。同居生活をしているこの幼なじみ二人は、冒頭数ページでお付き合いを始め、彼氏彼女の関係に。決してない設定ではないが、物語序盤で恋人関係になるパターンは珍しい。それだけに、この後に巻き起こる「バカップル」のイチャラブは、読み手を振るいにかけてくる。

そもそも非常に…というレベルでは収まらないほど仲の良かった幼なじみたちだけあって、恋人関係になった今、その暴走を誰にも止められない。お互いが「ゾッコン」のため、恋人の素晴らしい面をさらりと自慢してくるので口から魂が飛び出るくらい満腹になる。

そのバカップルもといバカ夫婦のツッコミ役となるのが、日向の従妹である皐月だ。
異能持ちの『御園』の家系。その中でも本家筋に発言する異能…万物を創造する『森羅万象』の力を持つ皐月は、謎の敵に付け狙われるのだが、同じ御園の一族である日向の異能によって護られる。
「あらゆる道具の性能を最大限まで引き出す」日向の力は、皐月の力と相性バツグンで異能バトルにうってつけなのだが、この物語の楽しむポイントは残念ながらそこではない。

バカ夫婦のイチャラブを見せつけられて、読者視点でツッコミを入れ続ける皐月のパワーを評価したい。彼女がいなかったら誰も手がつけられない状態でバカ夫婦のボケが放置されるところであった。

しかし物語が進行すると、日向と鈴莉が今の状態になったのかを知ることになり、二人の絆と、日向の強さの謎に行き着く。二人の中だけにある想いを読者の前に広げてくれる役も、皐月が担ってるんだよなあ。ほんとありがたいキャラだわ。

異能バトルとそれに関わる設定については、それほど目を見張るものはなかったけれど、とにかく日向と鈴莉、そして皐月の関係が読んでいて楽しかったよ!